黄金の精神
突然ですが、僕は大沢在昌先生のファンです。
まあ実は新宿鮫よりもアルバイト探偵の方が好きってくらいのファンなんですが。
そういえば先日も新刊を読みました。
- 作者: 大沢在昌
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/06/26
- メディア: 単行本
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んで、実は先生はジャンプ小説大賞の選考委員をしてらっしゃるわけなんですが、その選考結果と選評が今週のジャンプに出てました。
その選評の中で、
人に読ませる物語を書くとき、基本となるいくつかの条件
を書いていて、それがやっぱりなかなかのもんなんで、唸ってしまいました。
まあ当たり前のことを言ってらっしゃるんですが。
それをきちっとやるってな中々難しい。
ちなみにHPでも見れます。(□□ 第16回ジャンプ小説大賞 □□)
思わずジャンプからページを剥ぎ取った俺が阿呆みたいやんけ。
しかしなかなか第一線で活躍してる人がこういうことを言うっていうのは見たことが無い。
アメリカだと、スティーブン・キングとか、クーンツとかが書いてて邦訳もされてるんだけど、
- 作者: スティーヴン・キング,Stephen King,池央耿
- 出版社/メーカー: アーティストハウス
- 発売日: 2001/10/26
- メディア: 単行本
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- 作者: ディーン・R.クーンツ,Dean R. Koontz,大出健
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1996/07/01
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- 作者: 森村誠一
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まあそれはいいんだ。
んで、最初僕は大沢先生の選評しか見てなかったんだけど(ファンだからな!)、実は栗本薫氏も中々いいことを言っている。
4編通じて感じるのは「本当に著者のかた、自分のキャラを愛してますか?」ということです。そのキャラと現実におつきあいできますか?結婚したり一緒に暮らすのに耐えられますか?
ってのも、すごい重要なんだけど、
この先の小説ジャンルが多少なりとも希望をもつためにも、「本当の意味での心優しさ」について、小説を書いてゆく人々には、もう一度考えて欲しいなあと思います。
本当の「リアリティ」についても。現実がこんなに惨い「今」だからこそ、私たちはファンタジーを必要としているのですから。
っていうのに、結構ぐっと来たね。
ここで更にいろんなものから引用してくるけど*1
いい? これは仕事
本気でうそをつく仕事なのよ。
あなたの描くうそは、誰かがお金を払ってでも騙されたいものかしら?
(日本橋ヨヲコ著 G線上ヘヴンズドア2巻P114 より)*2
創作とは嘘をつくということである。では、嘘をつくというのはどういうことなのか?
嘘つきは自分をかばうために嘘をつくわけではない。相手を失望させたくないばかりに嘘を云う。相手の心が傷つくのが見ていられなくて、嘘をつくのだ。その心は優しさに溢れていると云っていい。
それに較べて正直者の心はむごい。相手の傷みより、自分が嘘をつく傷みの方を避けようとするのだから当然である。かたくなであり、頑固であると云うよりも先に、自分を守る心が強い、利己的だと云うべきだろう。
(隆慶一郎著 死ぬことと見つけたり(下) P302 より)*3
嘘をつくという行為には優しさが必要なのだ。だから栗本氏は、
「本当の意味での心優しさ」について、小説を書いてゆく人々には、もう一度考えて欲しい
と言ったのではないか。
まあ実は引用したG線上ヘブンズドアの一節と死ぬことと見つけたりの一節はノートにメモってあったり。
これは創作をするときにはすごく重要だと思ったので。それで同じようなことといったらおこがましいかもしれないけれど、こういうことを栗本氏が言っていたので、思わず書いてしまった。
ま、それはそれとして。
だから、私は、モノを書くときは、せめて、優しい話を書こうと思っている。
そうすべきではないかと、思っているのだ。
ただし、「優しい」ってことと「甘い」ってことの間には明確な一線を引いておきたい、とも思っているが。
*1:お前は吼えよペンの大鉄か(笑)
*2:
*3: