マネーロンダリングと税制改革
マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで (幻冬舎新書)
- 作者: 橘玲
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 新書
- 購入: 13人 クリック: 135回
- この商品を含むブログ (89件) を見る
例えば、以前「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか」を読んだんだけど、*1その中で、
企業が儲かり株価が上がると、株主が利益を得る。では、主な株主は誰なのかというと、'06年、日本国内の株式市場で全売買額の過半を占めていた外国人投資家です。
(P51)
という記述があったんだけど、この本によると、
経済紙誌は「外国人投資家」と呼ぶが、その多くは日本人である。
(P197、ちなみに「経済紙誌」は原文ママ)
らしい。
これは要するに日本人の投資家が
香港に法人を設立し、その法人名義で香港の証券会社に口座を開き、日本株に投資する
(P194)
とか、そういうことらしい。
んで、
この場合、注文の依頼主は香港の証券会社となり、日本の証券取引所ではほんとうの買い手が誰かはわからない。
(P194)
なんでこんなことをするかというと、匿名性がその理由らしい。
それがどういうことかというと、
これは売買手口を読まれるのを嫌う投資家にとってきわめて便利な仕組み
(P195)
ということらしい。
それで、
こうした手法が人気を集めた結果、いまでは日本企業の大株主にわけのわからないカタカナ名のペーパーカンパニーが名前を連ねるようになった。
んだと。
こういうのが結構書いてあって、おもしろかった。
でも何よりも衝撃だったのは、あとがきなんだよね。
村上ファンドの村上世彰氏がシンガポール移住を目指したように、税金を払いたくない人はいつでも日本から出て行くことができる。増税は富裕層にはなんの痛手も与えず、仕事や家庭を抱え、この国で生きていくほかない中間層を痛めつけるだけだ。
最近、税制改革で企業や富裕層が優遇されてるとかいう話があったと思うんだけど、これも一因なのかもしれないと思った。
つまり、そういう風に優遇しないと、企業や富裕層は税金の安いところに逃げてしまうのではないかということである。
それよりは、税制を企業や富裕層に有利にして(その分そこからの税収は減るだろうが)、この国に居てもらう方が、彼らがこの国に落とす金は増えるだろう。とか、そういうことなのだろうか。
しかしなあ、どんなに頑張ってもタックスヘイブンには勝てないんじゃないの?とか、思ってしまう。
タックスヘイブンとは
まあだからといって資金の流失を指をくわえて見ているわけにも行かないのだろうけど。