田山花袋の蒲団を読んでみた。
青空文庫をつらつら眺めていたら、大塚英志がキャラクター小説の作り方で言及していた、田山花袋の蒲団があったので、読んでみた。
- 作者: 大塚英志
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/02/20
- メディア: 新書
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しかしながら、言及してたってことは覚えてたんだけど、どういう文脈だったのかをすっぱり忘れ去っていたので、それを読む前に、キャラクター小説の作り方を読み返す羽目になってしまった。
で、感想なんだけど、この小説、あえて主人公を話の本筋から離してるんじゃないか、という辺りがちょいと面白く感じた。
話の筋とはしては主人公の小説家のところに女学生が弟子入りするんだけど、そのうち女学生が彼氏を作ってただならぬことになってしまったので故郷に連れ戻されるってだけなんだけどさ。
でも読んでて思ったんだけど、この話、小説家が主人公だけども、あんまり主人公っぽくないよね。これ、明らかに女学生が主人公だろうと、多分、普通に小説書こうとしたら、この小説家は脇役なんじゃなかろうか、と思う。
小説家はただひたすらに悶々とするだけで、全然状況を動かしていない。状況を動かしているのは、常に女学生の方なんだよね、これが。
どう見ても、女学生が主人公としか思えない(笑)。
あえて言うなら、シャーロック・ホームズにおける、ワトソン的な感じというか。ワトソンが語ってる形だから、ワトソンが主人公っぽい感じもするんだけど、あれもあくまでも「シャーロック・ホームズ」の冒険だからなあ。
ただ、この主人公、話の本筋への絡みというか立ち位置としては、ワトソンよりもう一歩外側に居る感じがする。
ワトソンがPC2だとしたら、この主人公は3、もしかすると4とか5かもしれない。いや、5は流石にねえか(笑)。
ただ、そういうのを見て思ったのは、物語においては主人公がクローズアップされて、その苦悶とかが描かれるけれども、実際はどんな脇役でも一個の血の通った人間である以上、そういうものがないわけではない、ってことで、そういうものを描いたってことなのかもしれんなあ、とは思った。
まあ実際は、この話って実話を元にしてるらしいから、当初は自分(小説家)が主人公のつもりで、若くて綺麗なお姉ちゃん相手に、どきどきしたりなんかして、向こうもまんざらじゃあないぜ、ヒャッホー!って思ってたんだけど、突然男が出てきてしまって、実は全然主人公でもなかった。あれ?ていうか、俺脇役じゃね?
うん、いつの間にか脇役にされてね?
ちーくしょおおおおおおおおおおお、なんじゃこりゃああああああ
俺の魂の叫びを聞けよやああああああああああああああああああ
ってだけのような気もするけど(笑)。