恐ろしくでけえ釣り針だなとは思ったけど、スルーするわけにもいかなかった。それが俺のジャスティス。

既にブクマコメの方でもツッコミ入れてる人が居るけど、俺も流石に気になったので書く。

悪質なコメントについて、はてなに抗議すると「権利侵害ではないので削除はできない」と回答してくる。「警告もしないのか」と質問すると「表現の自由」を持ち出す。これはナンセンスである。表現の自由とは公権力との関係で問題になるもので、はてながアカウントを削除しても他のサービスを使えばよい。

池田信夫氏は「表現の自由とは公権力との関係で問題になるもので、はてながアカウントを削除しても他のサービスを使えばよい。」と書いている。
これを見ると、「表現の自由は公権力との関係以外では問題にならない」という風に思えてしまうが、これは明らかな間違いもしくはミスリードである。


確かに、表現の自由というのはそもそも検閲に対する反発から生まれたものである。検閲というのは公権力がやるものだから、公権力との関係が問題になるし、今現在でも、表現の自由の根幹をなすのは公権力との関係だろう。
しかし、それは、それだけが表現の自由だということではない。

最も分かりやすく、大きな問題は名誉毀損関連の話である。
ことに、昨今は名誉毀損の損害賠償額が高額化し、これが表現の自由との関係で問題になっていることは周知の通りだろう。
武富士裁判や、オリコン裁判がその例である。*1
暮らし・武富士事件にみる「名誉毀損ビジネス」 言論弾圧に手を貸す弁護士
ITmedia News:「オリコンチャート」記事めぐりジャーナリストに賠償請求 「言論妨害では」と批判も

これは私人対私人の話であって、公権力との関係の話ではない。
この一事を見ても、「表現の自由は公権力との関係以外では問題にならない」わけではないと分かると思う。*2

しかしながら、これは今回池田氏が批判している「はてな」の場合とは違うという見方もあるかもしれない。
だが、少し考えて欲しい。

例えば、僕が、今回の池田信夫氏の記事を受けて、「池田信夫氏のような影響力のある人間が、このように誤解を招くような記事を公開していると、誤った認識が広まってしまう危険性が高く、有害である。即刻記事削除、アカウント停止をするべきだ」と、gooに申し入れ、結果としてそれが受け入れられたとしたなら、それは明らかに池田信夫氏の表現の自由を侵害している可能性があると思うのだが、どうだろう。
少なくとも、ここに表現の自由が絡んでくることは間違いないと思う。*3

なら、警告くらいは良いじゃないかと思う方もいるかもしれないが、何かしらやるたびにサービスの提供者から警告が飛んできて「アカウント停止するぞ」と言われてしまう、というようなことになったら、表現の自由に対する萎縮効果の点から問題になる可能性は否定できないだろう。
そりゃきっぱりと名誉毀損などの違法行為に該当するという場合なら良いだろうが、全部が全部そうではあるまい。


とかなんとか書いてきて、ふと思ったんだけど、池田信夫氏って確か元NHKだよね。元報道機関の人間なんだから、我々パンピーよりは表現の自由に詳しいはず……、あれ? 俺釣られた?

わけわかめ

20071115追記:「描いた時点ではフィクションでも描いたあとでノンフィクションになるんですね!?」- 古木の虚



BGM:「いつか空に届いて」椎名恵

*1:そういやオリコン裁判って最近どうなったのかな。良く知らねえや。

*2:つうか、私人間適用の話の方が良かったかしらん。

*3:まあ僕はそんなことをするつもりはありませんが。するつもりがあったら、こんなエントリなぞ書かない