森友問題の再調査は必要なのか。

前→ここまでわかった森友問題:貸付編 - 一切余計


再調査に関してなんですけども、僕はそもそもに、
「再」調査って言い方自体どうなんだろ
と思ってます。


だって再調査ってことは、既に調査は行われてるっていうことを前提にしてるわけでしょ。
だけども、あれで調査したって扱っていいもんかどうなのかってのがまずもって疑問なんすよね。


考えてみりゃすぐ分かることですが、森友問題には、土地取引自体と、それにまつわる公文書改竄という二つの問題が含まれてるわけじゃないですか。

でも財務省がやった調査って後者に対するものだけで、前者に対しては何もやってないよね。
だからあの調査自体を認めるにしても半分しかやってないことになるわけでしょ。


その上公文書改竄に対しても、「絶対に第三者入れたくないでござる」って言いながら自分達だけでやったわけじゃないですか。
www.asahi.com


あんな特大の不正やっときながら第三者入れたくないでござるってそんな抗弁ができる立場かよと思いますが。

というか別に検察が捜査してたって第三者入れてもいいだろ。
日産とか農水省とか、検察が捜査してても第三者委員会やってたし。
car.watch.impress.co.jp
www.jiji.com




大体、第三者入れてないってところ抜きにしても不信感を抱かざるを得ない部分もありますしね。


よく「改竄前の決裁文書は出てる」とか「改竄前の決裁文書見ろ」とかいう人たちがいますが、あれって改竄前の決裁文書そのものではないんですよ。


www.mof.go.jp


じゃあ、この財務省のサイトに出てる奴は何なんだって話になるわけですが、これは改竄前の決裁文書そのものではなくて、あくまでも「復元」をしたものなんですね。

そして、その復元が完璧ではないだろうということは国も認めています。


(強調下線は筆者以下同じ)

○浅田均君 私は、財務省の文書改ざん問題について、まず太田理財局長にお尋ねしていきたいと思います。というより、一緒に考えたいと思います。
 私もこの文書をいただいてから考えに考え続けているわけですけれども、なかなか分からないところがあります。今回書き換えられた十四の決裁文書が報告されております。うち、理財局長は何度も御答弁されておりますが、改ざん前の文書で本省に残っていたものが一つ、それから残りは近畿財務局の職員が手控えあるいは個人フォルダに残していたという御答弁でした。
 それで、前回も質問いたしましたが、改ざん後は改ざん前の文書は廃棄するはずだと思うんです。二つ残っていたらこれややこしいですよ、決裁文書は。だから、書き換えたら書き換える前のやつは廃棄して、それを真正のものとするはずだと思います。だから、十四残っていたから十四文書が改ざんされたと報告されておりますけれども、改ざん前のやつが残っていないというものがあるとすれば、これは分からないわけです。
 私は、元々あったはずの全ての文書の復元は不可能だと思っております。なぜかといいますと、今申し上げましたように、改ざん前の文書が残っている場合は文書改ざんが認定できます。しかし、改ざん前の文書が残っていない場合は、文書改ざんがこれ認定できません。全ての文書の復元は不可能だと思っておりますが、私の認識は間違っているとお考えですか。
   〔委員長退席、理事二之湯武史君着席〕


○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 まず、委員のおっしゃっている中で、要すれば、改ざん前の、何というか、決裁書そのもの、それは鑑から調書から参考資料から全部あるものと、書換え後のものが二つあるかというと、それは委員のおっしゃっている、そういうふうにはなっておりません。元々の決裁文書のうち、基本的には調書と呼ばれる部分だけ差し替えをしているということですから、そういう意味で、書換え前のものが残っているかといえば、それは残っていないということになります
 ただ、今ほどの、他の委員からも御質問がありましたように、書換え前の状態のものをとにかく復元してというか、早く提出せよと、それが本来国会に提出すべきものであるという議論はこの委員会でも起きているというふうに思っておりますので、実質的に書換え前だと、我々としてはこれが書換え前だと思えるものを用意をさせていただいて提出する努力をしなければいけないというふうには思っておりますが、委員のおっしゃるとおり、基本的には、書換え前のというものの文書をある意味でそのときと同じように、実質は別として、形式的に全く同じように復元することはそれは不可能だということだと思っております。


○浅田均君 私の認識は間違っていないということでしたら、今どういう調査をされているんでしょうか。


○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 どういう調査ということは、私は二つの意味どちらかちょっと分からないので確認をさせていただきたいんですが、一つは、復元前の、書換え前の文書に復するようなことをやるという意味での調査ということなのか、それとも、この委員会でずっと調査と申し上げているのは、書換えを行われたんだけど、その目的なり経緯なり、最終的には関係者の処分ということにつながるんですが、そういう意味の調査をやっているということの、そのどういう調査をという御質問か、どちらのことをおっしゃっておられるのでしょうか。


○浅田均君 後者です。何か書換えという事実があって、それに対して処罰とか何か考えるわけですよね。だから、事実認定の過程でどういう調査をされているのかということを伺っているんです。


○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 委員のおっしゃっているとおり、そのものずばりは復元ができないわけですが、ただ、書換え前のオリジナルは我々としては実質こういうものであったはずだというのをこの間の十四文書の提出ということで御覧をいただいているわけです。あとは、その書換えをした、書換え前のオリジナルを我々なりには認定をしているつもりなので、そのものから書換えをしたのは誰がどういう指示でどういう作業をしてこういうことを行ったのかと、それは何のために行ったのかと、文言を見る限りこうこうだということを御説明を申し上げておって、それで、基本的にはそれで間違っていないと思っていますが、そういうことも含めて今調査をさせていただいているということでございます。


要するに元のもんは残ってないけど復元をした。でも、そもそも元のもんが残ってない以上、だいたいあってるぐらいにはできても完全に同じもんにすることはできないってことなんですよ。


なので、あれを完全に鵜呑みにするわけにもいかないという面はあるんですが、僕としては、ここで「復元の程度」を問題にするつもりはありません。問題にしたところで、元のもんがない以上結論出しようがないですし。


それじゃあ何が言いてえのかというと、ここで赤木ファイルのことを思い出して欲しいんですね。

・(赤木さんが改ざんの経緯について記したファイルを)パラッとだけ見たんです。「めっちゃきれいに整理してあるわ」と。全部書いてあるやんと。どこがどうで、何がどういう本省の指示かっていうこと。これ見てもうたら、我々がどういう過程でやったかというのが全部分かる。




それって文書復元するときにすごい役立ってそうだし、最初から公表してたら復元した決裁文書や、財務省の調査の説得力というか、信憑性も増したはず。


にもかかわらず、公表するどころか、文書があるという話ですらも、奥さんが旦那さんの上司から聞いたっていうことを言うまで、全く出てなかったわけで。


つまり、財務省、というか政府ってあんだけのことをやらかしておいてまだ隠してることあったんだなって話になるんですよ。


こうなってくると、出してないもんまだまだあるんじゃないのって思っちゃうし、現に、国もあるけど出してませんと認めてるものがあるわけです。


それが、前回、「次回以降に回します」っていった交渉記録です。

○辰巳孝太郎君 それだけじゃありません。既に国会に提出されたのが、九百五十七ページの財務省の応接記録であります。
 先日の私とのやり取りの中で、手書きのナンバリングがされていると、しかし、それが中が、番号がかなりの数が抜けておりますので、元々は順序よくナンバリングをされていたものを、提出されたやつというのは中を抜いているじゃないかということを質問いたしましたけれども、そのことを認めました。その中には理財局と本省とのやり取りがあるんだと、だけれども、それを出しちゃうと後の仕事に支障が出るので出さないと、こういう話でありましたけれども、到底納得できません。納得できません。
 理財局長、それは行政文書ですよね。出さなきゃならないんじゃないんですか、求めがあれば。

○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 ナンバリングをした職員のものが全てこの関係といいますか、きれいに例えば何らかの交渉記録なりなんなりだということを言っているわけではないと、それはいろんなものが入っている中でということと、それから、彼自身も、ナンバリングをした本人自身も廃棄をしているものがあって、それは別のところから探し出してきているものもありますので、そういう意味では、仮に彼が持っていて、ナンバリングがあるものがあっても、そうじゃないものもあってということですから、ナンバリングが抜けているものが何か意図的にそれを抜いているかという話はそういうことではないという、まず最初のところの、前段部分はそう申し上げさせていただきます。
 その上で、本省と近畿財務局との間でやり取りがあるのであれば、そのものを提出をせよということを委員はおっしゃっておられるということだと思っております。情報公開法においても、国の機関の内部、あるいは相互間のやり取りというのは通常のものとはやや違う扱いがされているというふうに承知をしています。
 それは、基本的に内部の意思決定、あるいは内部間の意思決定の過程については、基本的には紙で残している場合よりも口頭、あるいは面と向かって、あるいは電話でということも含めてということでございますので、それも含めて、今後またいろんな意味で内部の意思決定をしていかなければいけない、それは国の行政機関であれ、様々な公的な組織であっても、組織の中でいろんな意思決定をする過程における過程のものを全て出せというのは、今後の意思決定にも支障が生じるということで、それはいたしかねるということだと思ってございます。

○辰巳孝太郎君 国交省にお聞きしたいと思います。
 国交省も、昨日、廃棄したと説明してきた森友学園や近畿財務局との応接記録を提出をいたしました。これ全部ですか。


○政府参考人(蝦名邦晴君) お答え申し上げます。
 今般、財務省におきまして書換え前の決裁文書や協議メモが職員個人が保有する手控えといったところから発見されたことも踏まえまして、国土交通省におきましても、改めて確認を行った結果、協議メモが大阪航空局職員の手控えとして残っていることが分かりまして、昨日、御提出をさせていただいたものでございます。今般、私たちが確認できました当時の森友学園側との協議メモにつきましては、全て御提出をさせていただいております。


○辰巳孝太郎君 森友学園以外、近畿財務局、あるいは国土交通省本省とのやり取りは出していないということですか。


○政府参考人(蝦名邦晴君) 今般、御指摘のそうした行政機関間、あるいは行政機関組織内部間のやり取りにつきましては、本件に限りませず、日常的に様々なやり取りを行っているところでございますけれども、行政の組織相互間や組織内での検討の途中過程の情報を逐一お示しをすることは今後の率直な意見交換や議論が妨げられる可能性もあるということから提出を差し控えさせていただいているところでございます。

同上


これ情報公開法第五条五号のこと言ってんだろうけど、微妙に話捻じ曲げてねえか。

第五条 行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。


五 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの



意思決定過程のものだから、行政機関同士のやりとりは一律に出せないみたいな答弁してるけど、法律は一律に不開示なんて言ってねえだろ。


現に政府のサイトの解釈にも、

第5 審議、検討等に関する情報(法第5条第5号)
 開示請求の対象となる行政文書は、決裁、供覧等の手続を終了したものに限られないことから、国の機関等の内部又は相互間における意思決定前の審議、検討又は協議の段階において作成又は取得された文書であっても、組織的に用いるものとして現に保有していれば、対象文書となる。
 このように、開示請求の対象となる行政文書の中には、行政機関等としての最終的な決定前の事項に関する情報が少なからず含まれることになるため、これらの情報を開示することによってその意思決定が損なわれないようにする必要がある。しかしながら、事項的に意思決定前の情報をすべて不開示とすることは、政府がその諸活動を説明する責務を全うするという観点からは、適当ではない。そこで、個別具体的に、開示することによって行政機関等の適正な意思決定に支障を及ぼすおそれの有無及び程度を考慮し、不開示とされる情報の範囲を画したものである。この場合のその要件ごとの考え方は、次のとおりである。

って書いてるし、それが当然だろ。


しかも、例えそういった不開示事由に該当したとしても、絶対に開示してはいけないってことでもない。

第七条 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書に不開示情報(第五条第一号の二に掲げる情報を除く。)が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該行政文書を開示することができる。

大体、公表されてる交渉記録に、近財と豊中市、近財と大阪府、近財と航空局の記録が少しではあるけど含まれてるし。


つうか、そもそも、『率直な意見交換』どうのこうの言ってるけど、その挙句に公文書改竄やってたら世話ねえだろ。


それでも公表したくねえってんなら第三者委員会立ち上げて、そこで内々に見てもらうって手立てもあんでしょ。


持ってるものを洗いざらい公表すんのも嫌、第三者入れるのも嫌、自分達だけでやったもんって、超弩級の不祥事起こしたっていう自覚あんのか、ほんとに。


まあ、第三者入れて再調査したところで何か違うものが出て来るという保証があるわけじゃありませんがね。


しかしそういった形式を整えるという建前すらもかなぐり捨てて、調査しましたって居直っているのをよしとしていいものとも思えません。


つうかさあ、僕いつも思うんですけど、奥さんの再調査要求に対して、もう調査結果は出てるって返す人って、いじめ自殺やらなんやらで遺族が再調査求めてるときも同じこと言ってんですかね。
あんま見たことないですけど、そういう人。
(参照:第三者委、来月20日にも報告書 大津中2自殺問題 : 京都新聞
検証:いじめ自殺遺族、不信感 全国自治体アンケート | 毎日新聞


いじめ自殺とかで再調査を求める遺族の方は、教育委員会だとか、学校だとかに不信感を持ってるからその調査を信用できないってことになるんでしょうけど、この件だって、赤木ファイルの提出をとことんまで渋ったり、公務災害認定の文書をのり弁にしたり、大臣の墓参りに対する希望を捻じ曲げたりしてんだから、奥さんがそういったものを抱くのは、無理からぬことで、そこに何の違いもないのではと思います。


www.asahi.com

「麻生大臣が墓参に来たいと言っているんですが、どうですか?」
 私は即座に「来てほしいです」と答えた。大臣がお墓の前で手を合わせてくれたらトッちゃんも喜ぶと思ったのだ。すると深瀬さんは「麻生大臣に来て頂きます」と言って電話を切った。ところがその後、私には知らせずに実家の兄に電話を掛けた。「妹さんは大臣に来てほしいと言っていますが、マスコミが押しかけてきて対応が大変ですよ。お兄さんはお断りするということでいいですね?」
 そんな風に言われて、兄はやむを得ず「それでいいです」と受け入れた。その上で深瀬さんは次の日、再び私に電話してきた。「そういうことにしますから、いいですね」と一方的に告げられて、その時の私には何も言えなかった。
 しばらくして麻生財務大臣が国会で「遺族が来て欲しくないということだったので伺っていない」と答弁しているのを見た。私が言ってもいないことが、まるで事実のように語られ、それを理由に墓参に来ないとは、あまりに理不尽だと感じた。結局、私の意志なんてどうでもいい。大臣は墓参に行きたいと言ったけど遺族に断られた。そういう形を作りたかっただけなんだろう。


赤木雅子・相澤冬樹著「私は真実が知りたい」P63


www.tokyo-np.co.jp


そんなわけで、皆さんがどう思ってるか知りませんが、少なくとも僕は調査しない理由あんの? ぐらいに考えています。


では、今日はこの辺で。

ここまでわかった森友問題:貸付編

前回→ここまでわかった森友問題:お隣の野田中央公園編 - 一切余計


ご存知ない方もいらっしゃるかと思いますが、森友問題は、随分前から、
売払いどころか、貸付の時点からおかしなこと起こってねえか
という話になって来ています。


どこから説明したもんかなと思うんですけど、籠池夫妻のことから話を始めましょうか。


で、だ。
よく籠池夫妻のことをクレーマーだっていう風に言う方がいるんですね。
まあそれも無理からぬことというか、まあそう言ってもいいんではと個人的には思いますが、ただ、一点、そういう人たちが分かってんのかどうなのか気になる点があんですよ。


それは、
籠池夫妻がそういう人たちであることは、そのとき相対してた国の担当者が誰よりもよくわかっていたはず。
っていうごくごく当然のことなんですが。


例えば、近財が、大阪府の私学課に対して、「森友がこんなこと言ってたけどホンマか?」「うんにゃ」とかいうくっそわかりやすい例とかがあるわけですよ。


(当は当方、相は相手方の意味。強調下線は筆者。以下同じ)

当)先週、森友学園理事長が来局し、「1月28日に大阪府に伺って小学校設置認可に係る計画書を提出した。」との説明を受けた。
大阪府は正式受理したのかと質問したところ、「2~3点の追加資料提出の指示は受けたが、正式に受理していただいたものと考えている。」と説明されたが、間違いないか。


相)正式受理した認識はない。
  結局、資金計画の説明が全くできておらず、自己資金と寄付金で対応するとの説明を受けているが、現在の通帳の写し等、自己資金の状況を説明できるもの及び寄付を予定してるのであれば寄付をいただける方の一覧表を昨年から要求していた。
これらのものの提出がないため、状況は昨年からあまり変わっていないと考えている。



交渉記録:
https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/20180523p-1.pdfP75
平成二十六年二月三日分より


あるいは、同じように大阪府の私学課と話してる時に、私学課の方から出た話として、

相)毎回同じような話をしているが、都合の悪い話になると怒りだすため、建設的な話し合いにならないのが実情。


同上 P85 平成二十六年三月二十七日分より

とかもあるわけですよ。


で、結局、

<担当者心証>
相手方の対応は、国が判断するに当たり大阪府豊中市も関係ないという言い方を繰り返し、早期に貸付契約の締結を行うよう動いてもらいたいとの主張に終始した。
国の対応の非難及び自己の主張の妥当性を一方的に述べるのみであり、今後も、当方指示に真摯に対応することは期待し難いという印象。


同上 P88 平成二十六年四月十五日分より

とまで書かれる始末。


つうか、この四月十五日ってもう結構がけっぷちなんですよね、森友側は。

<応接要旨>
当局から、以下の説明を行った。
「本財産について、入札等を待っている買受希望者もある中で、森友学園からのご要請を踏まえ、通常の審査期間を大幅に延長して対応させていただいております。
当局としても国有財産地方審議会への諮問等を踏まえて、作成いただいている資料の内容が十分出るかを確認させていただきたいと考えております。
再提出等をお願いする資料がございますが、これらの資料につきましては、本事案が国有財産地方審議会に諮問される場合、一般に公表される内容となることを全体に作成をお願いするものであり、当局も外部説明が可能であるかという視点で内容確認を行うものです(別添「再提出・追加提出が必要な資料」を示し、説明を求める)。
つきましては、4月末までに最終的な資金計画、収支計画、スケジュール資料及びそれらの実現性についての説明資料の提出をお願いいたします。
当局は、提出された資料により、契約相手方の決定に係り重大な判断を行う局面を迎えていると考えております
ので、よろしくお願いします。
ところで、私学審議会に係る大阪府との協議はどのような進行状況でしょうか」

同上


すごいこと言ってますよね。
『重大な判断を行う局面』って。
まあそれも無理からぬことではありますが。
そもそも森友が最初に「この土地欲しいねんけど」って言って来たの、この前の年の六月ですからね。
大きい買い物ですから、何か月かかかるのは仕方ないんでしょうけど、それにしたって一年近く経ってるわけですから。


そんだけの期間があったにもかかわらず、書類を揃えて来ないし、その上、嘘ついたり、怒って話し合いにならんかったりもするわけでしょ。


そらまあ、
こんなクレーマーにいつまでも付き合ってられるか
ってなるのはある意味当然ですよ。
それが『重大な判断を行う局面』ってことでしょう。

そう考えると、この四月末までに書類出してくれって言うのは、ある意味温情ですよね。速攻蹴飛ばしたっていいようなもんなのに。


にもかかわらず、
『国の対応の非難及び自己の主張の妥当性を一方的に述べるのみであり、今後も、当方指示に真摯に対応することは期待し難いという印象。』
言うこと聞く気ないぞこいつらって書かれてんですよ。



この流れではどう考えても無理やろと思いますけれど、それでも四月末に書類が出せて、首の皮一枚繋がったっていうならまだわかりますよ。


でも文書についてる経緯を見てみると、

H26.4.28

当局から学校法人にいつまでも待てないと説明したところ、学校法人から、①当初計画していた26年7月の大阪府私立学校審議会への諮問を本年12月に変更したいので、その前提で対応してほしいと要請され、②豊中市との開発協議を急ぐ必要があるため、近畿財務局から豊中市に「学校法人と本財産の契約を締結することを証する」旨の文書を提出してもらいたいとの要請を受ける。



書類出さへんどころか、要求をぶつけてくるという。

しかも、計画を七月から十二月に先延ばしにするってことは、『いつまでも待てない』って言ってる相手に、もうちょっと待ってくれって言ったってことですよ。


『重大な判断を行う局面』とまで宣告されてんのによう言ったなと思いますけど、こんなもん普通に考えたらこの時点で終わりでしょ。


だけども終わらなかったわけですよ。

H26.6.2

対応について、本省理財局と相談の結果、当局から学校法人に対し、①当局の審査を延長すること、②豊中市に対して、開発行為等に係る手続のみを可能とする「承諾書」を当局から提出すること、③売払いを前提とした貸し付けについては協力する旨を回答。

同上


また、当日の交渉記録を見ると、以下のような記述がある。

【応接要旨】
当)開発許可申請に係る豊中市との協議結果について回答する。
ご要請された豊中市指定の承諾書については、同承諾書の提出により、工事施工まで土地所有者が異議なく同意する意味合いがあるが、当局の手続きとして国有財産地方審議会及び大阪府私学審議会の答申を得て初めて森友学園と貸付契約の締結が行えて工事施工が可能となるので、同承諾書を現段階で当局から豊中市に提出することは難しい。
そのため、開発行為の事前相談・協議等の手続きのみ進めることを承諾する文書の提出により開発協議に対応することができないか、当局から豊中市に働き掛けて調整させていただいた。その結果、今回手交した文書(別添文書)であれば、豊中市としても受け入れられると確認できたため、森友学園の署名捺印後、当局から豊中市へ提出させていただくことは可能となる。
これは、当局として、森友学園の要望にできる限り沿うように努力させていただいたものであることをご理解願いたい。
なお、当局から当該文書を豊中市に提出する場合においても、本財産の処分相手方を森友学園に決定しているものではないことを申し添える。
以上は、必ず、正確に理事長にお伝えいただきたい。


交渉記録:
https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/20180523p-1.pdfP105
平成二十六年六月二日分

なお、4月28日の打合せで、本年7月を目標として大阪府への小学校設置に係る計画書を提出すると伺ったので、当局の審査はそこまではお待ちする。必ず期限までに、当局へ資料を提出願いたいと理事長にお伝えいただきたい。


同上 P106

(なお、この日は籠池氏が急用のために来ず、コンサルだけが来ていた。)



あのさあ。


流れおかしくね?



『審査を延長』とか『森友学園の要望にできる限り沿うように努力させていただいた』とか、『重大な判断を行う局面』はどこに行ったのって話ですよ。


四月二十八日にきっちり書類を出してたなら、ぎりぎり間に合わせたってことですから、まだわからんではないですよ。


でも『重大な判断を行う局面』の四月十五日から期日の四月末を経て、この六月二日まで、森友側は自分たちがやらなきゃいけないこと何もやってないでしょ。

自分達がやらなきゃいけないことをひたすら先延ばしにして要求をぶつけてくる、それこそクレーマーみたいな相手のために、何で頑張っちゃったの。


じゃあ、この四月二十八日から六月二日までの間に、何かしら転機があったのかしらって話になってくるわけですよ。
そして、それは少なくともちゃんと書類を出したとか、心を入れ替えたとかではない。
しかも本省と相談したって言ってる以上、近財だけの判断でもない。


で、結構知らない人多いかなとは思うんですが、さっきから何度か出してる文書にくっついてる経緯(H26.6.2 とかから始まる簡単な内容が書いてる奴)っていろんな文書にくっついてて、それぞれの文書で内容がちょっとづつ違ったりするんですよ。まあ、矛盾があるって程のもんじゃないんですが。


20201014164741


要するに、こういうやつなんですが、これの内容がちょっとづつ違ったりするっていうのは、例えば、法律相談文書にくっついてる経緯の記述がこれで、


20201014164825


決裁文書にくっついてる経緯の記述がこうだったりという。

20201014164906


あの、言いてえことは分かるかと思いますが、流れおかしくなった期間に総理夫人の写真を出したって話が思いきり鎮座してんですよ。


つまり、
籠池夫妻がクレーマーであることを強調すれば強調するほど「流れおかしくね?」という話になって、そこに鎮座してる総理夫人の写真がクローズアップされることになる。
ってことなんですよねこれが。


流石に国側はこのことわかってんでしょうね。

○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 今ほど委員が御指摘になられたといいますか、あるいは音声データというものを他党から頂戴をして、それも拝聴させていただいております。私もそれを聞かせていただいて、先方が大変なタフネゴシエーターだというふうに印象を持っております。



タフネゴシエーターときたもんだ。
茂木さんもびっくりだろこんなの。
日米貿易協議に“タフな交渉力”期待 茂木氏、圧力かわしTPPへの復帰促す (1/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト



とはいえ、ここで勘違いしないでもらいたいのは、
だからと言って総理夫人の写真が影響したんだと決めつけるつもりはない
ってことです。


ただ現時点で関係がないと断言するのはいささか難しいのではないかとは思っています。


理由はいくつかありますが、まず決裁文書とかにくっついてる経緯や交渉記録を参照する限り、他に特に何も起きてないということですね。

だってこうだもの。

20201015151106


経緯で見た場合、四月二十八日の次はもう六月二日になってるんだもの。
まあ、交渉記録にはこの間のものも何日分かあるのはあります。
でもそれ大半が、承諾書に関する豊中市とのやり取りなんすよね。

まあちょっと箇条書きにするとだ。
(最初が五月十二日で、四月二十八日から少し間が空いているのはゴールデンウィークを挟んだことが一因と思われる)



・五月十二日  豊中市との打ち合わせ中に、森友の寄付について情報提供
・五月十三日  豊中市との承諾書についてのやり取り
・五月十五日  やっぱり豊中市とのやり取り
・五月二十日  大阪府の私学課への問い合わせ(何かこの日は二個あるけど両方それ)。
・五月二十一日 豊中市との承諾書についてのやり取り
・五月二十二日(午前) 豊中市との承諾書についてのやり取り
・五月二十二日(午後) 森友のコンサルとの打ち合わせ(承諾書、土地の資料、土地に生えている樹木の本数について)
・五月二十三日 航空局と土地の資料、樹木の本数についてやりとり


そんでもって、この次はもう六月二日になっちゃう。


というかこれ、最初の五月十二日の段階から、『森友学園の要望にできる限り沿うように努力』ってのが始まっちゃってるよね。


そうなると転機があったとしたら、四月二十八日から五月十二日までの間ってことになって、なんか目新しいというか目を引く話って総理夫人の写真提示以外やっぱなくねってことになるわけです。


まあ、決裁文書とかに書かれていない何事かが起こったんだと主張することも不可能ではないですけど、書かれてない以上わかりませんし。


とはいえ、これは関係ないと断言できないという理由の中ではさほど大きいもんではないです。


で、次なんですがね。
ご存知の方も多いでしょうけど、
総理夫人の写真が出たという四月二十八日の交渉記録って、ないんですよ。

○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。  今委員から御指摘があった四月の二十八日、本当はその前に年号が要るんですが、年が要るんですが、年を抜かしても委員は御理解をされている、共通認識だと思いますので四月二十八日と申し上げますが、その四月二十八日の応接録、交渉記録については、近畿財務局に確認をしたところ、作った記憶があるという者がございます。  ただ、調べましたところ、幾ら調べてもそれはどうしても発見できなかったと。ただ、内容は、基本的には決裁文書の経緯のところにポイントが全部書いてあるので、内容はそういうことだというふうに申しております。



作った記憶はあるけど、どうしてもないと。

あんな何百ページもあるのに、そこは抜けてると。

なんなんですかね。
未だに隠してるのか、それとも、余程念入りに抹消したんでしょうか。

また、四月二十八日の分はないから抜けてるんだとは言ってるんですが、じゃあ、逆に、あった分は全部出てるのかというと、実はそういうわけでもありません。(その話にまで触れると長くなりすぎるので次回以降に回します。悪しからずご了承ください)。




三つめは、その写真を見せられた国側の当事者の証言です。

「スリーショットの写真を見せられたのは前西さんじゃないですか?」
「私が応接した時です」
「スリーショットの写真、上司に見せるって、誰にお見せになったんですか?」
「お話しできません」


赤木雅子・相澤冬樹著「私は真実が知りたい」P202

「なぜあの日の応接記録が出てこないんですか? 前西さんが実際に応接されたってことであれば応接記録は必ずあると思うんで、それを公開してほしいと思ってます」
前西氏は、こう返した。
「東京(の財務省本省)も含めて、組織で我々仕事してるから、お話しできないんです。その時に応接記録を作ったかどうかも含めて、お話しできないんです」

同上 P203



いやね、本当の本当は、この写真とか別に関係ないかもしれませんし、特に何も変なことは起こってないのかもしれませんよ。


けれども今現在のこの状況で関係ないって断言すんのってどうなんですかね。
詳細が全然わかんないんですもの。


念のため言っときますが、この人がしゃべれないのは仕方ないことですよ。
それこそ本人が言ってるように組織の中の人ですからね。
ただそれならそれで財務省の人間がこの人に聞いてくりゃいいだろということなんですが、その結果が、

○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 通告をいただいていないので、ちょっと再度確認しないといけないと思っていますが、過去お尋ねをいただいたときの記憶で申し上げますけれども、写真を見せられたという記憶はあると、だけど、それを、この写真だったかどうかということは明確に記憶していないというのを、過去どなたかの御質問で聞かれたときにそうお答えをしたという記憶があります。今、事実関係もう一度確認させていただかないとちょっと自信がありませんけれども。



過去の質問ってのが見つからなかったのでそこは申し訳ないけども、それはそれとして写真は見たけど、この写真だったかどうか覚えてねえって、俺には話を誤魔化そうとしてるようにしか思えねえ。


大体、奥さんとの会話からしたら、この人ちゃんと覚えてんだろ。


それからもう一つこの件に関して付け加えておきますが、ここで写真を見せられたと言ってる前西さんって人は、


でしゃべってる人とは別人です。途中で担当者変わってるので。

んで、こっちの、池田さんって人なんですが、その人が、この写真に関してどういうことを言ってるかというと、

「じゃあ、あの写真を見せられた時は?」
「あれは僕じゃないです」
「誰なんですか?」
「あれは前任の課長(前西勇人氏)です。だからその段階で何があったかどうかというのは僕は分からないです。そこはすみません、僕ではわからないところなんです」


赤木雅子・相澤冬樹著「私は真実が知りたい」P153

自分じゃないのでわからんと言ってたりします(なお、これについても引継ぎってもんがあるだろという当然の指摘があります)。


繰り返しになりますが、僕は関係があると決めつけるつもりはありません。

ただ、

「記録はない」
「言えない」
「わからない」

のないない尽くしでは、関係ないと断言するのは少し難しいだろうと考えているだけです。


それと言うまでもないことではありますが、仮に籠池氏がクレーマーや詐欺師であったとしてもその発言の全てが虚偽だとは限りません。
当たり前だ。クレタ人じゃねえんだから。


現に、身を隠すように言われた発言なんかは、籠池氏が言ってたことがほんとで、否定してた国側が嘘をついていたってことがわかってるわけです。

○杉尾秀哉君 先ほど御紹介したニュース23で、籠池理事長はこういうふうに言っているんですね。当初、事件が起きてからしばらく身を隠していた、隠してくれと言われて、財務省の方から身を隠しておいてくださいと言うから、ああ、そうなんかと、こういうふうに昨日、幼稚園の修了式で言っています。
 これ、財務省は、身を隠しておいてください、籠池理事長にこういうことを言ったんでしょうか、どうなんでしょうか。


○政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。
 そういうことは言ってございません。


○太田政府参考人 お答えを申し上げます。
 委員御指摘いただきましたように、調査報告書の十一ページに調べた結果を御報告をしております。
 そのときに、当該の顧問弁護士と対応を相談するようにというふうに言われた課長補佐が言ったことは、報告書の十一ページに書いてあるとおり、同理事長は出張で不在であるとの説明ぶりを提案をしたり、それから、これは以前にありましたけれども、撤去費用は相当かかった気がする、トラック何千台も走った気がするといった言い方も提案したということでございます。
 それは身を隠せということと同様かといえば、そういう捉え方もできると思いますし、基本的には、でも、その場にはいないようにということを提案したということは事実だと思います。



てなわけで、結局のところ、言ってることが一概に嘘だとか本当だとか決めつけずに、眉に唾つけながら一つ一つ考えていくほかないという至極ありふれた、それだけに糞めんどくさくて困難なことをやっていかなくちゃいけないわけです。


まあ、世の中には、それをさぼりたいのか、あるいはほかの意図があるのか、こういうことをやってると、クレーマーを擁護するのかとかなんとか言い出す人もいますがね。


別に擁護とかじゃなくて、当事者な上に、国の方が嘘ついてた部分もあるから言ってることをすべて無視するわけにはいかないってだけなのに。


大体、嘘つきだから言ってること全部嘘だろ理論でいったら、公文書改竄やら虚偽答弁やらやらかしてる国にも同じ理屈が通用しちゃうだろ。
と、僕は思うんですが、どうなんですかね。


では今日はこの辺で。


(20211026追記)
次→森友問題の再調査は必要なのか。 - 一切余計

ここまでわかった森友問題:お隣の野田中央公園編

前回→ ここまでわかった森友問題:ゴミ編 - 一切余計


森友がおかしいなら隣の公園はどうなんだっていう人がたまーにいらっしゃるんですけど、端的に言って「本気か?」と思います。


順を追って説明すると、森友は深いところからゴミが出たってことで概ね八億円ぐらい値引きされて一億ぐらいで売ってるわけですが、元々同じ土地だったのを半分買った豊中市補助金をもらったおかげで実質負担が二千万じゃないかという話で、そっちはどうなんだということなんですが。

面積9,492.42平方メートルの用地の売買契約は14億2,386万3,000円ですが、最終的な市の負担は2,124万3,000円となっております。住宅市街地総合整備事業補助金7億1,193万円及び地域活性化公共投資臨時交付金6億9,069万円の合計14億262万円を国から補助金として受け取っております。



あのー端的に言って、
「隣の公園どうなんだ」
っていうのは、
「一万年前ぐらいのところからプラスチックが出てきたから値引きするってのがおかしいって言うなら、市が公園作るために補助金貰うのもおかしいだろ」
って言ってんのと一緒だと思うんすよ。
(一万年前のプラスチックに関しては前回参照)


もう一回聞きますけど、本気か?


あまりくだくだしく言うのもどうかと思いますが、端的に言って、その内容とかがちゃんとしてれば、値引きしようが補助金あげようが別に構わんでしょうよ。

で、一万年前ぐらいのプラスチックって聞いただけでおかしいし、会計検査院は、既に、値引きの根拠が確認できないって言ってるわけですよ(学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果についての報告書(要旨))。


一方で、市がというか行政が公園作るって別におかしくはないわけでしょ。

公園を設置する目的は、人々のレクリエーションの空間、良好な都市景観の形成、都市環境の改善、都市の防災性の向上、生物多様性の確保、豊かな地域づくりに資する交流の空間の提供である。


もしかすると公園作る前にすべきことがあるっていう優先順位の話で異論をはさむ人もいるかもわかりませんが、公園を作ること自体おかしいとか言う人はそういないでしょう。多分。


つまり、補助金をもらうための大義名分として、公園を作るってのは、とりあえず問題はないことになります。

ただ、無論のこと、大義名分がちゃんとしてたとしてもそれが中身も保証してくれるわけではありません。


よくあるのが、これこれをしますよって言ったはいいが、実際にはやらず、補助金だけを貰うとか、あるいは、やるにはやったけど費用やら何やらを水増しして、補助金を余計に貰うとかですよね。


でもこの公園に関してはどっちも考えにくいでしょうよ。


まず公園は実際に出来てるわけですから、やってないっていうことはないわけです。
野田中央公園(のだちゅうおうこうえん) 豊中市


そして、国有地をいくらで売ったかというのは公表されるので、金額を水増しするのも無理でしょう。
国有財産の処分等結果の公表について



あるいは、それにしたって十四億が二千万は補助金貰いすぎじゃないのと思う向きもあるかもしれません。


でもそれはある意味偶然なんじゃないでしょうかね。

何故かっていうと、まずこれ、全部が同じ補助金じゃなくて、「住宅市街地総合整備事業補助金」と「地域活性化公共投資臨時交付金」という二つを組み合わせてるわけですよ。
んで、前者は昔からある奴なんですが、後者の「地域活性化公共投資臨時交付金」ってこれ麻生政権がやったリーマン対策なんですよ。

(強調下線は筆者以下同じ)

世界金融危機と世界同時不況の中で、輸出急減と国内生産水準の大幅低下による「底割れ」のリスクと、過剰信用・過剰消費を前提としてきた構造の崩壊による「構造的な危機」とを克服するため、「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議は、平成21年4月10日に「経済危機対策」を決定した。これを受けて、平成21年度補正予算(第1号)が国会で審議され、平成21年5月29日に成立した(14兆6,987億円)。


 経済危機対策を受けた平成21年度補正予算(第1号)においては、「地域活性化公共投資臨時交付金」が1兆3,790億円(うち、執行停止額900億円)、「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」が1兆円、それぞれ盛り込まれた。

(こちらも参照:https://www.chisou.go.jp/tiiki/senryaku/kaigi/dai5/sankou2.pdf


世界金融危機ってリーマンのことでしょ?
つまりそのタイミングでリーマンが起こってなきゃそこまで補助金積めなかった可能性もあるんじゃないかという話で、もしそうだとしたらそりゃ偶然だろと。



というか、ぶっちゃけこの補助金に何らかの問題がありゃ会計検査院が何かしら言ってるんじゃないでしょうか。
現に、こういうのありますし。
(3) 地域活性化・公共投資臨時交付金が過大に交付されていたもの[総務本省](20) | 第3章 | 平成28年度決算検査報告 | 会計検査院


つまり、会計検査院は森友の値引きは根拠が確認できないと言ってるけど、野田中央公園に関しては、少なくとも現時点では何も言ってないわけです。


それでどうなんだと言われてもなぁと。


ついでに触れておきますが、あまり大きさの変わらない森友の土地の評価額が約九億なのに、なんで豊中市は十四億も払ってんのとか言う人もいますが、それは見積り合わせをしているからです。


以前も書きましたが、ここで改めて説明すると、見積り合わせっていうのは、公共随契を中心とする国有財産の管理処分手続き等の具体的な見直し内容の五ページに書いてある手順で、要するに、売主は最低価格を提示せずに、買主の方に買値を提示させてそれが最低価格を上回ってたら取引が成立するという仕組みです。

つまり、


買主「これ欲しいわ」
売主「おう。いくらで買ってくれるんや?」
買主「うーん、じゃあ、120円」
売主「よっしゃ売った!(ほんまは100円やけどな。儲けたで)」


とかいう、タチの悪い土産物屋か鋼入りのダンのケバブ屋みたいなやり口なわけです(なぜ、こんなことをしているかというと、随契だと入札できないので、その代わりにこういうことをやっている)。

だから豊中市は自分のところで不動産鑑定士頼んで、この土地いくらか鑑定してくれ言うたら十四億や言われたからその値段を言ったわけです。
平成29年 3月定例会(第4日 3月 7日)



なお、例え見積り合わせがそういうものであるにせよ、九億と十四億の差はおかしいと思う方もおるかもしれませんが、それも一応説明はされています。


実は森友学園が、一億で買った後に自分たちで不動産鑑定を頼んでいるんですが、その評価額が十三億なんですよ。

○宮本(岳)委員 この土地に関するプロの不動産鑑定士の鑑定評価書は、二〇一六年六月二十日の土地売却を前後して、二つございます。
 一つは、売買時に近畿財務局が委託した山本健爾鑑定士が五月三十一日という日付で近畿財務局に提出した、正常価格九億五千六百万円というこの鑑定評価書。
 もう一つは、前回私が明らかにした、八月十日付で森友学園に提出された、株式会社財産プランニング研究所熊沢一郎不動産鑑定士による平成二十八年八月一日時点の更地の正常価格十三億円というこの鑑定評価書。
 私は、この九億五千万円と十三億円との違いをもって、どちらが正しいかという議論をするつもりはありません。私は、この二つの不動産鑑定評価書をプロの不動産鑑定士の方に見ていただいて、検討いたしました。その方の所見でも、鑑定は野球のストライクゾーンのようなものだ、高目低目の違いはあっても、この二つはどちらもストライクゾーンは外していないというものでございました。


というわけで、それぐらいのぶれはあるもんだということだそうです。
まあ僕はこの界隈に詳しいわけではないのでよく知りませんが。


ただ、この九億って値段を出したのは近財が、つまり国が頼んだ鑑定士なわけで、それはそれなりの実績があって仕事を頼まれてるんやろうなと思うわけですよ。
んでもって、この十三億を弾いてる熊沢さんっていうのは、なんと、国有財産近畿地方審議会の委員までやってた人なわけです。
(参照:http://kinki.mof.go.jp/content/000115032.pdf
なので、普通に考えれば、やはり、実績のある人なんでしょう。

そうなると、どちらかが明らかにおかしいというのも考えにくいのではないでしょうか。



とまあ、つらつら書いてきましたが、最近は流石に分が悪いって気付いたのか、公園どうなんだって言う人随分減りましたけどね。
なので、これ書く意味あんまりないような気もしますが、一応、少し触れておくかと思いまして。


では今日はこの辺で。

(20211023追記)次→ここまでわかった森友問題:貸付編 - 一切余計