ここまでわかった森友問題:お隣の野田中央公園編

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森友がおかしいなら隣の公園はどうなんだっていう人がたまーにいらっしゃるんですけど、端的に言って「本気か?」と思います。


順を追って説明すると、森友は深いところからゴミが出たってことで概ね八億円ぐらい値引きされて一億ぐらいで売ってるわけですが、元々同じ土地だったのを半分買った豊中市補助金をもらったおかげで実質負担が二千万じゃないかという話で、そっちはどうなんだということなんですが。

面積9,492.42平方メートルの用地の売買契約は14億2,386万3,000円ですが、最終的な市の負担は2,124万3,000円となっております。住宅市街地総合整備事業補助金7億1,193万円及び地域活性化公共投資臨時交付金6億9,069万円の合計14億262万円を国から補助金として受け取っております。



あのー端的に言って、
「隣の公園どうなんだ」
っていうのは、
「一万年前ぐらいのところからプラスチックが出てきたから値引きするってのがおかしいって言うなら、市が公園作るために補助金貰うのもおかしいだろ」
って言ってんのと一緒だと思うんすよ。
(一万年前のプラスチックに関しては前回参照)


もう一回聞きますけど、本気か?


あまりくだくだしく言うのもどうかと思いますが、端的に言って、その内容とかがちゃんとしてれば、値引きしようが補助金あげようが別に構わんでしょうよ。

で、一万年前ぐらいのプラスチックって聞いただけでおかしいし、会計検査院は、既に、値引きの根拠が確認できないって言ってるわけですよ(学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果についての報告書(要旨))。


一方で、市がというか行政が公園作るって別におかしくはないわけでしょ。

公園を設置する目的は、人々のレクリエーションの空間、良好な都市景観の形成、都市環境の改善、都市の防災性の向上、生物多様性の確保、豊かな地域づくりに資する交流の空間の提供である。


もしかすると公園作る前にすべきことがあるっていう優先順位の話で異論をはさむ人もいるかもわかりませんが、公園を作ること自体おかしいとか言う人はそういないでしょう。多分。


つまり、補助金をもらうための大義名分として、公園を作るってのは、とりあえず問題はないことになります。

ただ、無論のこと、大義名分がちゃんとしてたとしてもそれが中身も保証してくれるわけではありません。


よくあるのが、これこれをしますよって言ったはいいが、実際にはやらず、補助金だけを貰うとか、あるいは、やるにはやったけど費用やら何やらを水増しして、補助金を余計に貰うとかですよね。


でもこの公園に関してはどっちも考えにくいでしょうよ。


まず公園は実際に出来てるわけですから、やってないっていうことはないわけです。
野田中央公園(のだちゅうおうこうえん) 豊中市


そして、国有地をいくらで売ったかというのは公表されるので、金額を水増しするのも無理でしょう。
国有財産の処分等結果の公表について



あるいは、それにしたって十四億が二千万は補助金貰いすぎじゃないのと思う向きもあるかもしれません。


でもそれはある意味偶然なんじゃないでしょうかね。

何故かっていうと、まずこれ、全部が同じ補助金じゃなくて、「住宅市街地総合整備事業補助金」と「地域活性化公共投資臨時交付金」という二つを組み合わせてるわけですよ。
んで、前者は昔からある奴なんですが、後者の「地域活性化公共投資臨時交付金」ってこれ麻生政権がやったリーマン対策なんですよ。

(強調下線は筆者以下同じ)

世界金融危機と世界同時不況の中で、輸出急減と国内生産水準の大幅低下による「底割れ」のリスクと、過剰信用・過剰消費を前提としてきた構造の崩壊による「構造的な危機」とを克服するため、「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議は、平成21年4月10日に「経済危機対策」を決定した。これを受けて、平成21年度補正予算(第1号)が国会で審議され、平成21年5月29日に成立した(14兆6,987億円)。


 経済危機対策を受けた平成21年度補正予算(第1号)においては、「地域活性化公共投資臨時交付金」が1兆3,790億円(うち、執行停止額900億円)、「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」が1兆円、それぞれ盛り込まれた。

(こちらも参照:https://www.chisou.go.jp/tiiki/senryaku/kaigi/dai5/sankou2.pdf


世界金融危機ってリーマンのことでしょ?
つまりそのタイミングでリーマンが起こってなきゃそこまで補助金積めなかった可能性もあるんじゃないかという話で、もしそうだとしたらそりゃ偶然だろと。



というか、ぶっちゃけこの補助金に何らかの問題がありゃ会計検査院が何かしら言ってるんじゃないでしょうか。
現に、こういうのありますし。
(3) 地域活性化・公共投資臨時交付金が過大に交付されていたもの[総務本省](20) | 第3章 | 平成28年度決算検査報告 | 会計検査院


つまり、会計検査院は森友の値引きは根拠が確認できないと言ってるけど、野田中央公園に関しては、少なくとも現時点では何も言ってないわけです。


それでどうなんだと言われてもなぁと。


ついでに触れておきますが、あまり大きさの変わらない森友の土地の評価額が約九億なのに、なんで豊中市は十四億も払ってんのとか言う人もいますが、それは見積り合わせをしているからです。


以前も書きましたが、ここで改めて説明すると、見積り合わせっていうのは、公共随契を中心とする国有財産の管理処分手続き等の具体的な見直し内容の五ページに書いてある手順で、要するに、売主は最低価格を提示せずに、買主の方に買値を提示させてそれが最低価格を上回ってたら取引が成立するという仕組みです。

つまり、


買主「これ欲しいわ」
売主「おう。いくらで買ってくれるんや?」
買主「うーん、じゃあ、120円」
売主「よっしゃ売った!(ほんまは100円やけどな。儲けたで)」


とかいう、タチの悪い土産物屋か鋼入りのダンのケバブ屋みたいなやり口なわけです(なぜ、こんなことをしているかというと、随契だと入札できないので、その代わりにこういうことをやっている)。

だから豊中市は自分のところで不動産鑑定士頼んで、この土地いくらか鑑定してくれ言うたら十四億や言われたからその値段を言ったわけです。
平成29年 3月定例会(第4日 3月 7日)



なお、例え見積り合わせがそういうものであるにせよ、九億と十四億の差はおかしいと思う方もおるかもしれませんが、それも一応説明はされています。


実は森友学園が、一億で買った後に自分たちで不動産鑑定を頼んでいるんですが、その評価額が十三億なんですよ。

○宮本(岳)委員 この土地に関するプロの不動産鑑定士の鑑定評価書は、二〇一六年六月二十日の土地売却を前後して、二つございます。
 一つは、売買時に近畿財務局が委託した山本健爾鑑定士が五月三十一日という日付で近畿財務局に提出した、正常価格九億五千六百万円というこの鑑定評価書。
 もう一つは、前回私が明らかにした、八月十日付で森友学園に提出された、株式会社財産プランニング研究所熊沢一郎不動産鑑定士による平成二十八年八月一日時点の更地の正常価格十三億円というこの鑑定評価書。
 私は、この九億五千万円と十三億円との違いをもって、どちらが正しいかという議論をするつもりはありません。私は、この二つの不動産鑑定評価書をプロの不動産鑑定士の方に見ていただいて、検討いたしました。その方の所見でも、鑑定は野球のストライクゾーンのようなものだ、高目低目の違いはあっても、この二つはどちらもストライクゾーンは外していないというものでございました。


というわけで、それぐらいのぶれはあるもんだということだそうです。
まあ僕はこの界隈に詳しいわけではないのでよく知りませんが。


ただ、この九億って値段を出したのは近財が、つまり国が頼んだ鑑定士なわけで、それはそれなりの実績があって仕事を頼まれてるんやろうなと思うわけですよ。
んでもって、この十三億を弾いてる熊沢さんっていうのは、なんと、国有財産近畿地方審議会の委員までやってた人なわけです。
(参照:http://kinki.mof.go.jp/content/000115032.pdf
なので、普通に考えれば、やはり、実績のある人なんでしょう。

そうなると、どちらかが明らかにおかしいというのも考えにくいのではないでしょうか。



とまあ、つらつら書いてきましたが、最近は流石に分が悪いって気付いたのか、公園どうなんだって言う人随分減りましたけどね。
なので、これ書く意味あんまりないような気もしますが、一応、少し触れておくかと思いまして。


では今日はこの辺で。

(20211023追記)次→ここまでわかった森友問題:貸付編 - 一切余計