森友問題の再調査は必要なのか。

前→ここまでわかった森友問題:貸付編 - 一切余計


再調査に関してなんですけども、僕はそもそもに、
「再」調査って言い方自体どうなんだろ
と思ってます。


だって再調査ってことは、既に調査は行われてるっていうことを前提にしてるわけでしょ。
だけども、あれで調査したって扱っていいもんかどうなのかってのがまずもって疑問なんすよね。


考えてみりゃすぐ分かることですが、森友問題には、土地取引自体と、それにまつわる公文書改竄という二つの問題が含まれてるわけじゃないですか。

でも財務省がやった調査って後者に対するものだけで、前者に対しては何もやってないよね。
だからあの調査自体を認めるにしても半分しかやってないことになるわけでしょ。


その上公文書改竄に対しても、「絶対に第三者入れたくないでござる」って言いながら自分達だけでやったわけじゃないですか。
www.asahi.com


あんな特大の不正やっときながら第三者入れたくないでござるってそんな抗弁ができる立場かよと思いますが。

というか別に検察が捜査してたって第三者入れてもいいだろ。
日産とか農水省とか、検察が捜査してても第三者委員会やってたし。
car.watch.impress.co.jp
www.jiji.com




大体、第三者入れてないってところ抜きにしても不信感を抱かざるを得ない部分もありますしね。


よく「改竄前の決裁文書は出てる」とか「改竄前の決裁文書見ろ」とかいう人たちがいますが、あれって改竄前の決裁文書そのものではないんですよ。


www.mof.go.jp


じゃあ、この財務省のサイトに出てる奴は何なんだって話になるわけですが、これは改竄前の決裁文書そのものではなくて、あくまでも「復元」をしたものなんですね。

そして、その復元が完璧ではないだろうということは国も認めています。


(強調下線は筆者以下同じ)

○浅田均君 私は、財務省の文書改ざん問題について、まず太田理財局長にお尋ねしていきたいと思います。というより、一緒に考えたいと思います。
 私もこの文書をいただいてから考えに考え続けているわけですけれども、なかなか分からないところがあります。今回書き換えられた十四の決裁文書が報告されております。うち、理財局長は何度も御答弁されておりますが、改ざん前の文書で本省に残っていたものが一つ、それから残りは近畿財務局の職員が手控えあるいは個人フォルダに残していたという御答弁でした。
 それで、前回も質問いたしましたが、改ざん後は改ざん前の文書は廃棄するはずだと思うんです。二つ残っていたらこれややこしいですよ、決裁文書は。だから、書き換えたら書き換える前のやつは廃棄して、それを真正のものとするはずだと思います。だから、十四残っていたから十四文書が改ざんされたと報告されておりますけれども、改ざん前のやつが残っていないというものがあるとすれば、これは分からないわけです。
 私は、元々あったはずの全ての文書の復元は不可能だと思っております。なぜかといいますと、今申し上げましたように、改ざん前の文書が残っている場合は文書改ざんが認定できます。しかし、改ざん前の文書が残っていない場合は、文書改ざんがこれ認定できません。全ての文書の復元は不可能だと思っておりますが、私の認識は間違っているとお考えですか。
   〔委員長退席、理事二之湯武史君着席〕


○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 まず、委員のおっしゃっている中で、要すれば、改ざん前の、何というか、決裁書そのもの、それは鑑から調書から参考資料から全部あるものと、書換え後のものが二つあるかというと、それは委員のおっしゃっている、そういうふうにはなっておりません。元々の決裁文書のうち、基本的には調書と呼ばれる部分だけ差し替えをしているということですから、そういう意味で、書換え前のものが残っているかといえば、それは残っていないということになります
 ただ、今ほどの、他の委員からも御質問がありましたように、書換え前の状態のものをとにかく復元してというか、早く提出せよと、それが本来国会に提出すべきものであるという議論はこの委員会でも起きているというふうに思っておりますので、実質的に書換え前だと、我々としてはこれが書換え前だと思えるものを用意をさせていただいて提出する努力をしなければいけないというふうには思っておりますが、委員のおっしゃるとおり、基本的には、書換え前のというものの文書をある意味でそのときと同じように、実質は別として、形式的に全く同じように復元することはそれは不可能だということだと思っております。


○浅田均君 私の認識は間違っていないということでしたら、今どういう調査をされているんでしょうか。


○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 どういう調査ということは、私は二つの意味どちらかちょっと分からないので確認をさせていただきたいんですが、一つは、復元前の、書換え前の文書に復するようなことをやるという意味での調査ということなのか、それとも、この委員会でずっと調査と申し上げているのは、書換えを行われたんだけど、その目的なり経緯なり、最終的には関係者の処分ということにつながるんですが、そういう意味の調査をやっているということの、そのどういう調査をという御質問か、どちらのことをおっしゃっておられるのでしょうか。


○浅田均君 後者です。何か書換えという事実があって、それに対して処罰とか何か考えるわけですよね。だから、事実認定の過程でどういう調査をされているのかということを伺っているんです。


○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 委員のおっしゃっているとおり、そのものずばりは復元ができないわけですが、ただ、書換え前のオリジナルは我々としては実質こういうものであったはずだというのをこの間の十四文書の提出ということで御覧をいただいているわけです。あとは、その書換えをした、書換え前のオリジナルを我々なりには認定をしているつもりなので、そのものから書換えをしたのは誰がどういう指示でどういう作業をしてこういうことを行ったのかと、それは何のために行ったのかと、文言を見る限りこうこうだということを御説明を申し上げておって、それで、基本的にはそれで間違っていないと思っていますが、そういうことも含めて今調査をさせていただいているということでございます。


要するに元のもんは残ってないけど復元をした。でも、そもそも元のもんが残ってない以上、だいたいあってるぐらいにはできても完全に同じもんにすることはできないってことなんですよ。


なので、あれを完全に鵜呑みにするわけにもいかないという面はあるんですが、僕としては、ここで「復元の程度」を問題にするつもりはありません。問題にしたところで、元のもんがない以上結論出しようがないですし。


それじゃあ何が言いてえのかというと、ここで赤木ファイルのことを思い出して欲しいんですね。

・(赤木さんが改ざんの経緯について記したファイルを)パラッとだけ見たんです。「めっちゃきれいに整理してあるわ」と。全部書いてあるやんと。どこがどうで、何がどういう本省の指示かっていうこと。これ見てもうたら、我々がどういう過程でやったかというのが全部分かる。




それって文書復元するときにすごい役立ってそうだし、最初から公表してたら復元した決裁文書や、財務省の調査の説得力というか、信憑性も増したはず。


にもかかわらず、公表するどころか、文書があるという話ですらも、奥さんが旦那さんの上司から聞いたっていうことを言うまで、全く出てなかったわけで。


つまり、財務省、というか政府ってあんだけのことをやらかしておいてまだ隠してることあったんだなって話になるんですよ。


こうなってくると、出してないもんまだまだあるんじゃないのって思っちゃうし、現に、国もあるけど出してませんと認めてるものがあるわけです。


それが、前回、「次回以降に回します」っていった交渉記録です。

○辰巳孝太郎君 それだけじゃありません。既に国会に提出されたのが、九百五十七ページの財務省の応接記録であります。
 先日の私とのやり取りの中で、手書きのナンバリングがされていると、しかし、それが中が、番号がかなりの数が抜けておりますので、元々は順序よくナンバリングをされていたものを、提出されたやつというのは中を抜いているじゃないかということを質問いたしましたけれども、そのことを認めました。その中には理財局と本省とのやり取りがあるんだと、だけれども、それを出しちゃうと後の仕事に支障が出るので出さないと、こういう話でありましたけれども、到底納得できません。納得できません。
 理財局長、それは行政文書ですよね。出さなきゃならないんじゃないんですか、求めがあれば。

○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 ナンバリングをした職員のものが全てこの関係といいますか、きれいに例えば何らかの交渉記録なりなんなりだということを言っているわけではないと、それはいろんなものが入っている中でということと、それから、彼自身も、ナンバリングをした本人自身も廃棄をしているものがあって、それは別のところから探し出してきているものもありますので、そういう意味では、仮に彼が持っていて、ナンバリングがあるものがあっても、そうじゃないものもあってということですから、ナンバリングが抜けているものが何か意図的にそれを抜いているかという話はそういうことではないという、まず最初のところの、前段部分はそう申し上げさせていただきます。
 その上で、本省と近畿財務局との間でやり取りがあるのであれば、そのものを提出をせよということを委員はおっしゃっておられるということだと思っております。情報公開法においても、国の機関の内部、あるいは相互間のやり取りというのは通常のものとはやや違う扱いがされているというふうに承知をしています。
 それは、基本的に内部の意思決定、あるいは内部間の意思決定の過程については、基本的には紙で残している場合よりも口頭、あるいは面と向かって、あるいは電話でということも含めてということでございますので、それも含めて、今後またいろんな意味で内部の意思決定をしていかなければいけない、それは国の行政機関であれ、様々な公的な組織であっても、組織の中でいろんな意思決定をする過程における過程のものを全て出せというのは、今後の意思決定にも支障が生じるということで、それはいたしかねるということだと思ってございます。

○辰巳孝太郎君 国交省にお聞きしたいと思います。
 国交省も、昨日、廃棄したと説明してきた森友学園や近畿財務局との応接記録を提出をいたしました。これ全部ですか。


○政府参考人(蝦名邦晴君) お答え申し上げます。
 今般、財務省におきまして書換え前の決裁文書や協議メモが職員個人が保有する手控えといったところから発見されたことも踏まえまして、国土交通省におきましても、改めて確認を行った結果、協議メモが大阪航空局職員の手控えとして残っていることが分かりまして、昨日、御提出をさせていただいたものでございます。今般、私たちが確認できました当時の森友学園側との協議メモにつきましては、全て御提出をさせていただいております。


○辰巳孝太郎君 森友学園以外、近畿財務局、あるいは国土交通省本省とのやり取りは出していないということですか。


○政府参考人(蝦名邦晴君) 今般、御指摘のそうした行政機関間、あるいは行政機関組織内部間のやり取りにつきましては、本件に限りませず、日常的に様々なやり取りを行っているところでございますけれども、行政の組織相互間や組織内での検討の途中過程の情報を逐一お示しをすることは今後の率直な意見交換や議論が妨げられる可能性もあるということから提出を差し控えさせていただいているところでございます。

同上


これ情報公開法第五条五号のこと言ってんだろうけど、微妙に話捻じ曲げてねえか。

第五条 行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。


五 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの



意思決定過程のものだから、行政機関同士のやりとりは一律に出せないみたいな答弁してるけど、法律は一律に不開示なんて言ってねえだろ。


現に政府のサイトの解釈にも、

第5 審議、検討等に関する情報(法第5条第5号)
 開示請求の対象となる行政文書は、決裁、供覧等の手続を終了したものに限られないことから、国の機関等の内部又は相互間における意思決定前の審議、検討又は協議の段階において作成又は取得された文書であっても、組織的に用いるものとして現に保有していれば、対象文書となる。
 このように、開示請求の対象となる行政文書の中には、行政機関等としての最終的な決定前の事項に関する情報が少なからず含まれることになるため、これらの情報を開示することによってその意思決定が損なわれないようにする必要がある。しかしながら、事項的に意思決定前の情報をすべて不開示とすることは、政府がその諸活動を説明する責務を全うするという観点からは、適当ではない。そこで、個別具体的に、開示することによって行政機関等の適正な意思決定に支障を及ぼすおそれの有無及び程度を考慮し、不開示とされる情報の範囲を画したものである。この場合のその要件ごとの考え方は、次のとおりである。

って書いてるし、それが当然だろ。


しかも、例えそういった不開示事由に該当したとしても、絶対に開示してはいけないってことでもない。

第七条 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書に不開示情報(第五条第一号の二に掲げる情報を除く。)が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該行政文書を開示することができる。

大体、公表されてる交渉記録に、近財と豊中市、近財と大阪府、近財と航空局の記録が少しではあるけど含まれてるし。


つうか、そもそも、『率直な意見交換』どうのこうの言ってるけど、その挙句に公文書改竄やってたら世話ねえだろ。


それでも公表したくねえってんなら第三者委員会立ち上げて、そこで内々に見てもらうって手立てもあんでしょ。


持ってるものを洗いざらい公表すんのも嫌、第三者入れるのも嫌、自分達だけでやったもんって、超弩級の不祥事起こしたっていう自覚あんのか、ほんとに。


まあ、第三者入れて再調査したところで何か違うものが出て来るという保証があるわけじゃありませんがね。


しかしそういった形式を整えるという建前すらもかなぐり捨てて、調査しましたって居直っているのをよしとしていいものとも思えません。


つうかさあ、僕いつも思うんですけど、奥さんの再調査要求に対して、もう調査結果は出てるって返す人って、いじめ自殺やらなんやらで遺族が再調査求めてるときも同じこと言ってんですかね。
あんま見たことないですけど、そういう人。
(参照:第三者委、来月20日にも報告書 大津中2自殺問題 : 京都新聞
検証:いじめ自殺遺族、不信感 全国自治体アンケート | 毎日新聞


いじめ自殺とかで再調査を求める遺族の方は、教育委員会だとか、学校だとかに不信感を持ってるからその調査を信用できないってことになるんでしょうけど、この件だって、赤木ファイルの提出をとことんまで渋ったり、公務災害認定の文書をのり弁にしたり、大臣の墓参りに対する希望を捻じ曲げたりしてんだから、奥さんがそういったものを抱くのは、無理からぬことで、そこに何の違いもないのではと思います。


www.asahi.com

「麻生大臣が墓参に来たいと言っているんですが、どうですか?」
 私は即座に「来てほしいです」と答えた。大臣がお墓の前で手を合わせてくれたらトッちゃんも喜ぶと思ったのだ。すると深瀬さんは「麻生大臣に来て頂きます」と言って電話を切った。ところがその後、私には知らせずに実家の兄に電話を掛けた。「妹さんは大臣に来てほしいと言っていますが、マスコミが押しかけてきて対応が大変ですよ。お兄さんはお断りするということでいいですね?」
 そんな風に言われて、兄はやむを得ず「それでいいです」と受け入れた。その上で深瀬さんは次の日、再び私に電話してきた。「そういうことにしますから、いいですね」と一方的に告げられて、その時の私には何も言えなかった。
 しばらくして麻生財務大臣が国会で「遺族が来て欲しくないということだったので伺っていない」と答弁しているのを見た。私が言ってもいないことが、まるで事実のように語られ、それを理由に墓参に来ないとは、あまりに理不尽だと感じた。結局、私の意志なんてどうでもいい。大臣は墓参に行きたいと言ったけど遺族に断られた。そういう形を作りたかっただけなんだろう。


赤木雅子・相澤冬樹著「私は真実が知りたい」P63


www.tokyo-np.co.jp


そんなわけで、皆さんがどう思ってるか知りませんが、少なくとも僕は調査しない理由あんの? ぐらいに考えています。


では、今日はこの辺で。