人というものも、これはこれでなかなか馬鹿に出来ないんですよ。

何の脈絡もなく、ふと思ったんじゃが、「客に媚びない」ってことと、「客を馬鹿にする」ってことは全然違うのに、微妙に混同してる人がちらほら居るような気がする。*1

なんというか、傍目には客を馬鹿にしてるとしか思えないのに、本人は「俺は客に媚びないぜ、フフン」とか気取ってるように見える人たちというか。

なんかこないだもそんなようなことを書いたような気がするけど*2、これも結局上下関係の話なのかもしれんなあ。

「媚びる」ってのは、「相手に気に入られるように振舞う」ことなんだけど、その相手っていうのは、「自分よりも立場が上の人間」のことだと思うんだよね。用例にも、「上役に――」って書いてあるし。
つまり、客に媚びてるっていうことは、相手を自分よりも上にもって来てるってことなんだよなあ。で、そこで、「媚びない」=自分を客の上に持ってくる=客を馬鹿にする、下に見る、みたいになっちゃうのかもしれない。
多分、媚びないっていうのは、そういうことじゃなくて、相手を対等の人間として考えるっていうことなんじゃないのかなあ。
まあ、それもなかなか難しいとは思うし、馬鹿にしてるっていう意識があんまりなくて、無意識にそうなってるような人も居るんだろうけども。

ただ、こないだも、人を馬鹿にしたような(笑)とか(苦笑)とかは使わない方がいい、それらをオブラートにして人を馬鹿にしている姿は醜悪だ、とかいう話をしたけど、*3なんか、そういう人たちって、自分のその心根が見抜かれないと思ってる節がどうもあるんじゃねえかと。

でもね、それはない。

多分、人を馬鹿にするということに関して、人は人が考える以上に敏感なんだと思う。
それはもう見抜かれると思った方がいいと思う。そのつもりで、気をつけるべきだと思う。

だから、逆にこの人は、自分のことを馬鹿にしてないなっていうのも、人はちゃんと感じ取れると思う。
例えば、富野由悠季とかはことあるごとに、オタクを馬鹿にしたような発言をしてると思うけど、あんまりそれで不快になったことはない。まあそりゃあの人の人徳だっていう話があるのかもしれへんけど、多分、そうじゃない。

多分、富野さんは、オタクを馬鹿にしているんじゃなくて、オタクを叱っているんだと思う。

叱るってな、どういうことか。それに関しては、物凄く印象に残っている話がある。
以前、ニュースで見たんだけど、少年院で落語を聞かせる活動をしてる落語家さんが、うろ覚えだけど、こんなことを言ってた。(ぐぐった結果、どうやらこの人っぽい 桂才賀 - Wikipedia
「怒ることと叱ることは違う」
「子供達には、大人が自分にとって都合が悪くて怒っているのか、子供たちのことを心配して叱ってくれているのか、すぐに分かる」
これは全くその通りだと思う。
そして、富野さんは、まさにオタクのことを本気で心配して叱ってくれているのだと、僕は思う。
本当に馬鹿にしていたら、そんなことが出来るはずがない。
だから、あの人の言説は、不快ではないのだと思う。

人がそれを見抜く能力というのは、それほどのものなのだ。

だから、常に、そうなっていないか、そういう気持ちが自分の中にないか、自問する必要があるのではないか。そんな気がする。
まあ、そうは言っても、なかなか難しいけどね……。

*1:誰とは言わないけど。

*2:最近こればっかり書いてる気がする喃

*3:ブログを書く上で絶対に使ってはならない表現 - 古木の虚