剣術と剣道について

ドイツ剣術の術理、日本剣道の術理 - God & Golem, Inc.
なんか呼ばれた気がするので書く。
武術とかやったことねえけど、時代小説スキーだからな。
急いで書いたから、わけ分からんかも。まあ、俺もそんなに詳しいわけじゃないからな。

んで、ぶっちゃけた話、コメント欄でid:gensouyugiさんも書いてんだけど、この違いは日本がどうとかドイツがどうとかじゃなくて、剣術と剣道の違いだと思われる。

まあ、適当な薀蓄で行くけど、日本の剣術剣道の流れってな、大まかに言って、

介者剣術

素肌剣術

現代の剣道

って感じだと思われ。wikipedia:剣術

んで、介者剣術ってなどういうものかというと、要するに戦場で鎧を身につけた状態を想定した剣術なんですよ。

戦場では全員重く頑丈な鎧を着ている。小手先の剣は一切通用しない。鎧がはね返してくれる。だから防備は鎧に委せ、ひたすら攻撃に専念すればいい。疾走で勢いをつけ、出来る限りの早さで剣を振るう。なるべく鎧に蔽われていない部分に打ちおろす。斬り損じても体当たりで相手をはねとばせばいい。そのために疾走するのである。
術とも法とも呼べないような、粗雑な剣法である。近世のあらゆる剣法は、本来こうした荒っぽい剣法の否定の上に成り立っている。精緻な計算されつくした動きと剣さばきが、介者剣術の粗さを見抜き、冷静に後の先をとって一瞬に鎧武者を斬る。

死ぬことと見つけたり(上) (新潮文庫)

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一方、素肌剣術は、言うまでもなく、

鎧兜を装着しない、平服(通常の姿)で刀を振るうことを想定した剣術

牧秀彦著「図説 剣技・剣術」より

図説 剣技・剣術

図説 剣技・剣術

なわけですよ。
この場合、防御を鎧に任せることができないから、介者剣術よりも、間合いの計り方、間の見切りが重要になるわけですよ。(まあ、介者剣術でそれが重要でないということではないんですけど)
俺は剣道ってやったことないからよく知らんけど、この場合、明らかにそれは素肌剣術に近いと思われます。


んで、id:ggincさんが紹介してるYoutubeの動画を見ると、これは恐らく、日本の剣術で言うと、介者剣術、もしくは、その影響を色濃く残した素肌剣術ではないかと思われます。
なんでそういうことが言えるかって言うと、それは、攻撃部位です。
この動画見てると、喉を狙った攻撃が非常に多いことに気がつきます。この特徴は、日本の介者剣術にも見られるものなのですよ。

介者剣術とは戦場で重い鎧を着た者同士が闘うために編み出された、実戦一点張りの剣法だ。ほとんど全身を鎧でかためているのだから、当然防禦は鎧に委せ、攻撃一辺倒の剣になる。それも狙う箇所は四ヶ所しかない。鎧の効果の及ばない所、つまり、眼、咽喉、右手の拇指、最後に睾丸である。この四ヶ所に向かって猛烈極まる攻撃を休むことなく加えるのが、介者剣術の恐ろしさだった。

流慶一郎著「柳生非情剣」より

柳生非情剣 (講談社文庫)

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つまり、この執拗とも言える咽喉狙いは、鎧を着ていることを想定しているか、もしくはその名残なのではないかと思われます。とすると、このドイツ剣術は、素肌剣術よりも、介者剣術に近い。そうであるならば、このドイツ剣術が現代日本の剣道と大きく違うことはある意味当然のことです。


逆にいうと、日本のそういった剣術となら、共通する部分は多いのではないかと思われます。
なんか適当に検索してたら、ニコニコにタイ捨流の動画がありました。これなんか結構同じようなことやってるかと。

タイ捨流剣術‐ニコニコ動画(SP1)
D
タイ捨流は戦国時代末期に成立した剣術なので、わりとそういう部分が残ってるんではないかと思います。
wikipedia:タイ捨流
と、まあ、取り急ぎこんなもんでどうでしょう。

BGM:「UNLIMITED」相川七瀬